本気ならば行え。ラバーダム防湿法はなぜ必要か 歯医者の責務。東京職人歯医者 |
ラバーダムなしでの治療は歯に感染のリスクを与えるだけでなく治療精度も低減し、院内全体の飛沫感染という曝露にさらされるからである。
顕微鏡治療においてラバーダム防湿法を多用しない事は顕微鏡治療を全否定するのに値する。顕微鏡治療を優位に行える環境のラバーダム防湿法は絶対に必要なのである。
『ラバーダム防湿』
を併用する歯科医院である。
歯科治療は最大限の精度と安全を追求する。
感染予防と接着対策が重要である。
最大の効果的な手法は→ラバーダム防湿法である。
歯科医学ではラバーダム防湿法は歯科治療で最も重要な方法として大学で学ぶが、日本の臨床の現場では滅多に見ることはない。新人歯科医師時代は『現実と理想は違う』と先輩歯科医師からたたき込まれるのである。
諸外国では行うのが当然であり、海外の歯科医は行わないことは考えもしないだろう。もし行わなければ過失責任を法的にも問われる可能性もある。
ラバーダムなしの治療は歯を失うひとつの原因である。世界ではスタンダードなラバーダム防湿法ではあるが、必ずしも日本ではスタンダードではない。当オフィスでは虫歯治療・CR充填・歯内療法・インレーやコアのセット…感染を未然に防ぐよう可能な限りラバーダム防湿法を行うことは歯科医師の責務と考える。
口腔内はバクテリアの培養器と同じ環境となる。湿潤、栄養、酸素、無酸素…バクテリア増殖の好環境となる。
唾液は液体である。接着や薬理効果を得るには天敵となる。
唾液には無限のバクテリアが繁殖している。露出された象牙質や歯髄(神経)はカラダの内部である。唾液に触れた瞬間に細菌が感染する。
ラバーダム防湿法はアメリカのDr.Barnumが1864年に考案したといわれる。世界では当たり前に行われているものであるが、日本では考案より150年経った今でもその普及は困難を極める。残念ではあるが日本の歯科医療は治療費だけにスポットが当たり質は問われないことが要因の一つだろう。
歯を治療するということは、発生学・解剖学的に体の内部(臓器や血管・神経など)の外科手術をしていることと何ら変わりがない。いかに無菌的な処置をするかがポイントとなる。
歯科治療においてラバーダム防湿は装着することが可能であれば、ありとあらゆる治療に用いるべき最も重要なアイテムである。治療成績と長期的安定が格段に向上する。
ラバーダム防湿法は一般的に神経の治療で行うイメージであるが詰め物の治療、技工物などの接着時などその応用範囲は広く、用いるべき治療は多岐にわたる。
治療を極めたければ行うべき大切なステップである。
CR・インレー(虫歯の治療)、感染根管・抜髄(神経)、クラウン装着(冠)、コア装着(土台)、インプラント、ホワイトニング、シーラント、各接着処置……。可能な限り用いらなければ治療を受ける方々に様々な不利益を与えてしまう。
ラバーダム防湿法とは治療する歯のみを露出させバクテリア等が沢山潜む唾液や治療の妨げになる舌・頬から隔離する方法である。患者だけではなく歯科医師やデンタルスタッフにとっても有益なことばかりとなる。
ラバーダムに関するHP
http://www.k3.dion.ne.jp/~iritani/ruber.html
※【有益なことばかりのラバーダム防湿法】
・治療を丁寧に綺麗に行うこと。
治療歯が見やすく、障害もないので丁寧な治療が可能となる。
ラバーダムを装着しない場合は体内(内蔵)の外科手術を汚染された河川の中でしかも嵐の中で行っているようなものだろう。(エナメル質の内側の象牙質や歯髄は発生学的に内蔵や筋肉・血管と同じだからである。口の中は沢山のバイ菌が常在している。唾液や舌は治療の妨げになり危険なのである。)
・治療歯の清潔な状態を作り保つだろう。
唾液や舌を排除することにより歯は清潔で乾燥した状態を保つことができ詰め物などの接着が確実に行えるだろう。また、薬液も口腔内に垂れ流す危険が低減するだろう。
(左写真は表面処理の一工程)
・感染予防に必要不可欠
歯を削るとき切削機器を用いて同時に勢いよくエアーと霧を吹き付けることがある。発熱と目詰まりを防ぐ為である。口の中を直接吹き付けると唾液の中のバイ菌が空気中に飛散するだろう。診療室内は広範囲に汚染されるのである。ラバーダム防湿をすることによりこれを防ぐことが出来るだろう。歯科治療では感染予防対策に不可欠なのである。(エアロゾルの対策として『歯科医療における感染管理のためのCDCガイドライン2003』で当然推奨している。)
・治療を受ける安心感。ラバーダム防湿法を理解することにより治療を安心して受けることが出来るだろう。
・唯一の欠点。
鼻で呼吸できない方。アゴの弱い方、開けているのが辛い方には適さないことがある。装置を固定する為に麻酔をすることが極まれにある。歯の形状から装置を固定するのが困難な場合もある。
ラバーダム防湿は歯科治療を成功へと導く重要な要件であり決して省略してはならない。もちろん口の環境だけでなく『個室診療・完全予約制』でなければラバーダム防湿の効果は充分に発揮できず丁寧な診療が出来ないことは言うまでもない。
ラバーダム防湿法を行うことは歯科医師の責務である。
オフィス
『参考』
http://www.valleyanimalhospital.com/dental%20health.htm
諸外国のある動物病院ではデンタルケアの重要性が唱えられ、動物の歯科診療は日本の人間のその水準とは比にならない。日本では人間すらラバーダムによる標準的な治療がほとんど行われていないのが現実だ。神経の治療の学会では学会員でもラバーダム防湿法を行うのは少数らしい。科学と日本の医療は別物であることを証明しているようである。…悲しいことである。